「ミカさん家からひたすらまっすぐ、25kmでうちに着きます。」
という、村に住むアヤノちゃんにバイクで会いに行くことにした。
5km地点で分岐点。
居合わせたブルキナ女性に尋ねる。
「ベレバ(村の名前)はこっち?」
「ウィ。」
よっしゃー。ひたすらまっすぐね。
それにしても、ナンニモナイ。
車に1回追い抜かれ、人には5人しか会わず、家もなく、牛と羊ばかりいる。
心配になって、途中で2回聞くけれど、道は合っているらしい。
そして20km。
ポツンと集落出現。ここ?
あ、第一村人発見。
「ここはベレバ?」
「違うぞ。ベレバは、ここから20km戻った道を右に曲がって20kmだぞ。」
え?え?えええええええええーーーーーーーーー?
私、そこから来たんですけど・・・。
ご愁傷様でした。
言っておくけれど、途中で3回確かめました。
ブルキナべの「知らないって言うより嘘でも情報をあげよう」根性は、
水のない砂漠で「このクラッカーを食べなさい」っていう親切みたいだ。
仕方なく20km引き返し、そこから20km進む。
雨季には車も通れないという土道は、乾季の今砂埃が激しく、
タイヤがとられて9回コケそうになり、1回コケた。
噂に聞いていた、1日1往復しかしない鉄道を超えて、
うちから25kmのはずが、65kmかかって到着!
電気も水道も、塀さえもないアヤノちゃん邸。
電気はソーラーパネルで賄っているけれど、さすがに冷蔵庫はなく。
水道は井戸から子どもが運び、大きな甕に水を貯めている。
最初に驚いたことは、リビングが寺子屋状態。
休日だというのに、近所の子どもたちが、常時駐在するらしい。
中には初めての来場者もいて、
「私、あの子初めて見ました。」なんて平然と言ってのける。
お昼にカレーを作ってくれたけれど、その量にまた驚く。
そして、判明。
それは、遊びに来ている子どもたちの分。
人数が増えたから、豆とキャベツを入れて、急遽増量したらしい。
近所でご飯をよく食べるアヤノちゃんにすれば、『持ちつ持たれつ』。
食後は、子どもたちが片付ける。
床に落ちたご飯もカレーも、リビングで食器を洗うついでに洗い流す。
プール掃除を思い出させるダイナミックさ。
アヤノちゃんの悩みは、痩せると思っていたのに太ったこと。
でも、こんなに地域密着っていうか、地域同化した生活をして、
プライバシーもプライベートもなくて、
毎日近所の人がご飯招いてくれる(量もすごい)から仕方ないよね。
それは名誉の勲章。
前日の午後も、3回ご飯を食べる羽目になったらしい。
アヤノちゃん、本当にすごい!
その存在だけで、十分協力隊を遂行している。
すごい!以外の言葉が見つからない。
帰り道は、たったの25km。
家に着いて、水道で手を洗い、冷蔵庫から出した水を飲んだ。
子どももいない、静かなリビングで。
あー、私、甘えてるな。