そこらじゅうに羊がいる。ついでにヤギもいる。なんならブタもいる。
あー、アスファルトの道がない。
子ども達が土だらけの手で握手してくる。
今日もロバは虐げられている。
シャンプーが泡立たない。しかも、泡が赤土色。
帰ってきた、と実感する。
ブルキナファソ国に。
2週間、旅した国は北西アフリカ、モロッコ王国。
アフリカにあって、アフリカにあらず。
そこは、もうヨーロッパだった。
恐るべし、マグリブ諸国。
(アルジェリアとチュニジア3国。「日の没する地の国」の意味)
アフリカで第4位の国内総生産。
一人当たりの国内総生産も4,000ドルを超える。
リンの鉱石埋蔵量は世界一。
オリーブの生産も世界6位。
確かに、どこに行っても無料でオリーブが出てきた。
大西洋での漁業も盛んで、
「モロッコのタコが値上がりすれば、たこ焼きの値段が上がる」と言われるほど、日本もモロッコ産のタコを輸入している。
ジブラルタル海峡を挟んで、10数キロ先にはスペインが見える。
スペイン領の町もあり、アラビア語、フランス語に加え、英語や北部ではスペイン語も通じる。
8つの世界遺産も所有する、まさに観光大国。
「中国人!」と声をかけてくる人も少なく、むしろ日本語で挨拶をしてくれる。
コンニチワ。
ヨーコソ。
アリガトウ。
ゲンキデスカ?
キレイデスネー。(ありがとうございます)
断食期間中は、町中のレストランもほぼ締まっている。
自国ワインもありながら、お酒を飲まない。
毎日祈りを捧げる、敬虔なイスラム国家。
何でもある。
美しい町。
雄大な砂漠。
歴史ある建造物。
停電も断水もない、整ったインフラ。
時間もつぶせる無線のネット。
世界展開のファーストフード。
居心地のよいカフェ。
チョコレートが少なめのパン・オ・ショコラ。
伝統料理、クスクスやタジン。
どこを見ても、
ついついブルキナと比較。
ただ、同じアフリカっていうだけで。
ブルキナにこれはないなぁ・・・
ブルキナだったら、こうはいかないなぁ・・・
ブルキナだったらあと1時間はかかるなぁ・・・
ブルキナベが見たらびっくりするだろうなぁ・・・
ブルキナベに食べさせてあげたいなぁ・・・
「ブルキナには資源もありません。
他の国のように観光地もありません。
でも、人間が素晴らしい。
ブルキナの財産はブルキナの国民です。」
胸を張って言ってきた。
その思いは今も変わらない。
でも。
モロッコの人々も素晴らしい。
じゃあ、勝てないじゃないか・・・。
別にモロッコと戦ってはいないけれど。
物があるのは便利。
食べ物がおいしいのは幸せ。
それでも、
「ミカ、お帰り!」
「ミカがいなくて淋しかった。」
と迎えてくれる人たちがいる。
ブルキナに帰ってきてよかった。
何もない村に帰ってきてよかった。
早速、停電の洗礼を受けながら、
久々の手汲み水浴びに震えながら、
ちょっと大きくなったヒヨコ達を見ながら、
モロッコの砂浜に思いを馳せながら。
ここにいることをなぜか嬉しくなった。