「あなたの1年9ヶ月を四字熟語で表現して下さい。」
そんなアンケートがやってきた。
難しい・・・。
とりあえず、思いつくものを列挙してみよう。
①栄養失調
説明のしようもありません。
②点滴八本
上記の『栄養失調』の結果がこれ。一晩にそんなに打つことない!
③農業三昧
泥にまみれ、汗にまみれ。農業とは、かくも厳しいものか。
④電撃訪問
姉夫婦の。だって、いきなり道端にいたんだもの。
昨年の2大ビックリな出来事の1つ。
⑤断水停電
今の季節はよく起こる。慣れってすごい。
⑥嘔吐五回
原因と思われる手作りガレット、あれ以来一度も食べていない。
「お腹痛い」って言うと、同僚は「ガレット食べたのか?」と聞くくらい
有名なエピソードになった。
⑦蚊取線香
いっぱい炊きました。マラリアにならなくてよかった。
日本製の効き目たるや、目を見張るものがある。
⑧乾季肌荒
乾燥やら、埃やら、日焼けやらでカッサカサです。潤いたい。
⑨毎日求婚
会った瞬間の人、毎日言ってくる人、半年前の返事を聞きに来る人。
ある意味、人生最大のモテ期、到来。
⑩動物騒音
鳴き声、うるさいよ。目覚ましより前には鳴かないでー。
⑪妄想旅行
行った行った。世界中。あとは実現させるのみ。
⑫吉田松陰
今読んでいる本の主役、だから。
さすがに国語の先生に怒られそうなので、
実際に書いた四字熟語は次の2つ。
水滴石穿
晴耕雨読
もっと的確なものがありそうだけど、今はこれが精一杯。
学校は休校4日目。
復旧の目処も立っていない。
朝から夕方まで、子どもたちは外で遊んでいる。
そんな子どもたちを眺める夕方。
少女に、一つの疑問が湧いた。
「ミカ、これはなあに?」
私の顔のシミ、いや、あえてそばかすと呼ぼう、を指さした。
指さした、なんて生半可なものではなく、そこを抑えた。
私なりに、一応気にしていることではあるが、
それを聞く子どもに罪はなく、子どもは残酷だと改めて思いつつ。
「これは、太陽にたくさん当たるとできるのよ。」と説明。
考えてもみれば、彼女たちにシミもそばかすもできるはずがなく、
「えー、太陽で!?」
自分たちも毎日太陽を浴びているのにと、不思議がいっぱい。
肌の色が違えば、その性質も異なる。
(その割に、私の足もそこそこ黒い。)
学校では学ぶことのない何かを、少女たちは学んだ。
今朝は、ウンデ全体が停電。
ネットの契約が切れるため、ネットカフェにPCを持ち込めるか相談に行った。
回線が繋げるか調べればいいだけなのに、人のPCに遅いとケチをつける。
そして、何か説明するけど、その単語が分からなかった。
店主は「お前、フランス語分かんないのか?じゃあ、話にならんな。」と、
そこにいた他の客と笑った。
フランス語でこんなに悔しい思いをしたことはなかった。
「約2年ここにいたけれど、誰もそんなこと言わなかったわ。」と、
一応正しいと思われるフランス語で文句を言って帰る。
帰り道、水を買いに行くと、いつもの如く
「お釣り、ないのよ・・・」
別の店へ行く。
昨日、頼まれて自転車を貸した一人の女性に会った。
「ミカはもう帰るから、自転車返さなくてもいいでしょ?ちょうだいよ。」
お話にならない。
人に会いたくなくなって、家にこもっていたら警備員がやってきた。
「日本に帰る時に、荷物は全部持って帰るのか?
もし置いて行くものがあれば、もらいたいんだが・・・」
そんな予約、受け付けてません。
今までは、もっと平和に暮らしていたのに。
何で、みんなそんな風に言うのだろう?
怒り心頭。
していたら、家の前で、牛の糞を踏んだ。
今日に限って、底が網目のサンダル。
その穴から、にゅる~って入ってくるうんこ。
んもぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
水道をひねる。
あ、断水だ。
そのまま、数時間を過ごした。
電気も水もない。
言葉が分からないって
馬鹿にされる。
会う人ごとに、ものをねだられる。
うんこ踏んでも、足も洗えない。
今日は、久々に泣きそうだ。
ボール一つあれば、できるスポーツ。
ボール一つあれば、一日を熱中して終えるスポーツ。
それは、サッカー。
かわいがっている近所の子どもたちに、
新しいボールをあげると約束したのはもう2ヵ月前。
あまり物をあげたくないから、任期のギリギリにしようと先延ばしにしてきた。
彼らが1年半前から使っているボール。
元は、私のリフティング練習用だった・・・。
跳ねないそのボールを、10人以上の子どもが追う。
「新しいボールがあれば、もっと楽しいだろうなぁ。」
日本から送られたまま眠っていた新品を、遂にあげることにした。
子どもたちは、その眼をいっぱいに見開いて受け取った。
その中に星が描けそうなくらい、輝いたその眼を。
そして、全員がボールにキスした。
まるで、W杯を受け取ったキャプテンみたいに。
慎重に地面に落とされたボールは、
また中のゴムがむき出しになって、
入れても入れても空気が抜けて、
模様もロゴも分からなくなるまで愛されることだろう。
ココマデはヨカッタ。
「お母さんに見せる」と、みんなで一人の母親の元へ。
彼女は目の前で夕方のサラダ屋を営む。
「まー、ミカ!ありがとうねー!」
って言われると思ってた。
実際は
「ミカ、子どもにボールくれたのね。じゃあ、次は弟(1歳)ね。
何くれるの?」
もうイヤだー。
さらに、そこにやってきた女性。
「ミカ、私にサラダ買ってよ。卵もつけていい?」
「え?今お金もってないけど。」
「それはよくないわよ!ミカは意地悪ね。」
もうイヤだーーーー!
物をあげる。
物をねだられる。
その循環はエンドレス。
静かに、静かに私はこの地を去りたい。
いい思い出だけを持って。
今日は学校が休みになったようだ。
ある町で、警察官に暴行され重傷を負っていた大学生が死亡した。
暴行が死亡原因と考えられるが、髄膜炎で死亡と発表された。
大学生たちが抗議デモを起こし、治安部隊と衝突。
翌日もデモ隊との衝突は続き、学生側に死者が出た。
その翌日である昨日、首都でもデモが行われた。
これを受け、本日はブルキナ全土の学校が休みとなった。
近所のブルキナべは言った。
「警察が人を殺すなんてよくないだろ。
抗議のために学校は全部休みなんだ。
これがデモクラシーさ。」
そのデモクラシー休校のため、
少年(小学1年生)は500m離れたマルシェへ水汲みへ。
ガンバレ、少年。
休みなのに、偉いぞ、少年。
でも、暮らしーのためだから・・・